外壁の張替え
外壁の張替え工事の営業は、外から見て、外壁が傷んでいる建物を探せばいいので、営業マンも楽でしょう。
その営業マンが、まず最初に言う事は、「お宅の外壁、ボロボロで、このままでは建物本体が大変な事になりますよ!」と、こんな感じではないでしょうか。
次に、「今なら」と地域限定キャンペーンとか、モニターとしてカタログに載せてもらえればと、値引きの話を持ちかけ、時間をかけずに契約まで持ち込むのが、だいたいのパターンです。
そして、実際の施工方法を見ると、その殆どが、既存の外壁の上から重ねて張っています。
営業マンが言う「外壁がボロボロ」、これは間違えない事なのですが、問題はその原因です。
それは、年月の経過と共に劣化する「経年劣化」なのか、建物の構造上の欠陥で「凍害」などを引き起こしているのか。
もし、構造上の問題であれば、その原因を直さなければ意味がないですし、「経年劣化」が原因だったとしても、「外壁がボロボロになっている」と言っておきながら、そのボロボロを下地として重ねて外壁を張るのは、「本末転倒」ですよね。
また、「外壁を重ねて張ると暖かくなる」なんて言う営業マンがいるそうですが、建物は、外壁を張っていない状態で、防水・断熱が出来ていなければいけません。
外壁材は、あくまでも「化粧」で、断熱性能を上げる事が目的であれば、外壁ではなく、建物の気密や断熱材の事を考えるべきで、外壁を重ね張りするのは、意味がないどころか、後々、それが原因で他の問題を引き起こす事もあり、結果的に「何もしない方がマシ」なんて結果になることもあります。
リフォームの現場でよく見る「外壁の上張り」、これは「お客様や建物のため」ではなく、「手間をかけたくない業者のため」の工法です。
そして、「外壁を一度はがす」という作業は、その建物の問題点を見つけるキッカケにもなり、とても重要で価値ある事です。
建物は、年月が経過する程に、それぞれの違い(個性)が出ます。
リフォームは、その個性を理解し、それに合った工事をしなければいけません。
悪い部分を隠すだけのリフォームは、子供が10点のテストを机の引き出しに隠すのと同じです。
「10点のテストも、しっかり直すこで100点以上の価値がある」 と私は、我が子によく言ってます。
10点のテストは、ずっと隠していても、それより悪くなる事はありませんが、建物は悪くなった部分を隠せば、見えないところで、どんどん悪くなってしまうので、隠さず直す事が大切です。
「このままでは、大変な事になる」と言っていた営業マン。
やった工事は、そのまま、上から外壁を張っただけ。
問題(原因)の解決をせずに、隠しただけでした。
営業マンが、お客様に印象付けたのは、「大変な事になる」、「今なら安く」という言葉でした。
「外壁の張替え」については、他の複合的要素がありますので、別の機会にもう一度、詳しく書きたいと思います。
次回の「失敗しないリフォーム」は、「見積りについて」です。
P.S.
先ほど、「10点のテストは、ずっと隠していても、それより悪くなる事はありません」と書きましたが、
妻(母親)の機嫌 は、どんどん悪くなるので、訂正させて頂きます。 <(_ _)>
何事も、早めに白状してしまったほうが、いいですね。大人も、子供も。