NEWS/BLOG

結露の話

冬らしくない日々が、しばらく続きましたが、これからが冬本番です。

そしてこの時期は、ホームセンターの店先に並ぶ多くの「結露対策グッツ」を見ても分かるように、結露が気になる季節でもあります。

同業の建築屋さんと話をしていても、結露の話題は多く、特に「新築なのに結露して困る」という、お客様からのクレームの対応が難しいと、悩んでいるようです。

結露は、放っておけば窓台を腐らせたり、カビの発生源になったりと、困るのは間違えない事なのですが、それは建物が新しい古いだけの問題ではありません。

そもそも結露は自然現象で、「新築なのに」というクレームの原因のほとんどが「説明不足」です。

最近の断熱性能ばかりを強調する営業スタイルは、「新しい建物は、全てにおいて高性能」と、お客様を勘違いさせてしまう結果になり、起こる問題の全てがクレームになってしまいます。

正しい説明をしっかりとしない限り、解決の糸口は見つからず、「闇雲に対策をしても、改善しない」では、お客様の不信感は募るばかりです。

構造的な欠陥(施工不良)は別として、自然現象である結露は、生活スタイルに大きく影響されるため、お客様の協力なしには改善することが出来ません。

ですから、事前の説明が大切で、問題が起きてからの説明では、「使い方が悪いから」と言われているようで、お客様にしてみれば、気分が良いものではありません。

 

そこで今回は、「結露の原因と対処法」を考えてみたいと思います。

まず最初に、「新しい建物は、結露しないのか」という疑問には、「一概には言えません」というのが答えです。

「一概には」と言ったのは、新しい建物でも、「積極的に結露対策をした建物と、一般的な高断熱・高気密の建物では違う」ということです。

「積極的に結露対策をした建物」に関しては、別の機会に書くとして、一般的な話をすれば、「古い建物は断熱性能が悪くて結露しやすく、新しい建物は気密が良くて結露しやすい」という事で、建物は古くても新しくても、結露の問題とは背中合わせです。

逆に言えば、「自然現象である結露を理解することで、建物が新しくても古くても、快適に暮らすことができる」という事です。

 

では、結露とは?

結露には、いくつか種類があって、夏型・冬型など季節によるものと、表面・内部など結露する場所によって分けられるものがあります。

多くの方が悩まされているのは、「冬の表面結露」だと思います。

また、結露の種類(組合せ)に違いがあっても、その基本的なメカニズムに違いはありません。

 

結露のメカニズムとは?

簡単に言えば、空気の温度(気温)と、その周辺にある水分(湿度)とのバランスです。

空気中に水分が含まれていることは、ご存知だと思いますが、その水分量は一定ではなく、常に変化しています。

日本の気候は、夏はジメッと暑く、冬はカラッと寒いのが一般的です。

しかし、北海道の夏はカラッとしていて過ごしやすいなど、夏の気温と湿度は地域によって違いがあります。

これに対して冬は、寒さ(気温)の違いこそあれ、全国的にカラッとしていて、ジメッと寒い地域なんて聞いたことありません。

冬は、肌が乾燥したり、屋外での火の取扱いに十分な注意が必要であったりと、「冬 = 乾燥」というのは、全国共通です。

それもそのはず、空気に含むことの出来る水分量(飽和水蒸気量)は、気温によって変化し、その気温が低いほど飽和水蒸気量が少なく、空気は乾燥していることになります。

逆に、夏のように気温が高ければ、水分を多く含むことが出来るのですが、あくまでも「含むことが出来る」というだけで、実際にはジメッと暑いこともあれば、カラッと暑いこともあるのです。

さて、「冬の空気は乾いている」とは言っても、普段の生活から出る水分の量は、夏も冬もほぼ変わらず、冬の冷たい空気がその水分を吸収できないとすれば、それはどこに行くのでしょうか。

冬の寒い朝、車で信号待ちをしていると、前の車の排気口から、白い湯気のようなものがフワフワと出ているのを見た事があると思います。

あれを見ると、「今日は冷え込んでるなぁ」と感じる方も多いのではないでしょうか。

これは、寒い日に自分の吐く息が白くなるのと同じで、結露のヒントもここにあります。

夏に吐く息は白くならず、寒い冬だけに白くなるのは、吐いた息の水分が空気に溶け込めず見えるからです。

冬に-40℃以下になるような地域では、車の排気ガスや日常生活の排気に含まれる水分が、空気中に溶け込まず霧のように漂う「居住霧」で街が覆われたりします。

寒い屋外であれば、この水分(霧)はいつの間にか、どこかで凍り(霧氷など)、水滴として残る事は無いのでしょうが、そこまで過酷ではない家の中では、どうでしょう。

日常生活で出す水分量は、夏も冬もほぼ同じと考えて、室温も暖房を入れれば、暖かく夏とあまり変わりません。

しかし冬の外壁面は冷たい外気にさらされ、常に冷やされています。

その中でも特にガラスは、他の部分に比べ断熱性能が劣り、寒さが室内に伝わりやすくなっています。

そこに暖かく湿った室内の空気が触れれば、一気に冷やされ、今まで空気中に留まっていた水分が、姿を水滴に変え窓ガラスに付着します。

これが、結露です。

冷蔵庫から出したばかりの冷えたビール瓶に、水滴がつくのと同じです。

ビール瓶やジョッキに水滴が付くのは、いかにも冷えて美味しそうな感じがして大歓迎なのですが、同じ水滴でも窓ガラスに付くのは勘弁です。

 

大まかに結露の説明をしたところで、その対策です。

最後の手段として、ホームセンターの結露対策グッツもありますが、その前に試していただきたい事がいくつかあります。

まずは、室内の湿度を下げること。

あまり湿気を出さない生活をするのが理想ですが、それにも限界があるので、出した湿気を換気して積極的に逃がす事が1つです。

最近の高気密住宅には、換気扇が何箇所にも付けられているので、まずはそれを回し続けるのと、お風呂や台所の換気扇も併用して使うのが有効です。

次に、結露する部分の表面温度を上げる事です。

湿った暖かい空気が、冷やされた部分に接触して起こる結露は、単純に「結露している部分を暖めれば良い」という事です。

結露する部分の代表でもあるサッシのガラス面は、夜になるとカーテンを閉め室内の暖気が遮断されることで冷やされ、結露を起こす事がほとんどです。

ですから、カーテンを少し開けて、室内の温かみをガラスに伝えてやる事が大切です。

しかし、「外からの視線が気になり、カーテンを開けたくない」という方は、窓下に置くタイプの電気ヒーターでガラス面を暖めるのも有効です。

 

暖かく湿った空気と、冷やされた部分。

この2つの条件が揃うことで、結露は発生します。

ですから、換気をして空気を乾燥させるか、冷やされた部分を暖める。

このどちらかをクリアーすることで、結露は軽減するはずです。

結露対策グッツの前に、ぜひお試しください。

 

結露2

 

 

 

 


blog_line

葉