流し台交換。
大工さんの工事も最終段階、流し台の交換です。
流し台の交換作業は、お客様にはご不便をおかけしますが、2日間に渡っての作業になります。
<1日目>
まず、既存の流し台を撤去し、下地の有無を確認して、不足があれば、入れなおします。
そして今回は、流し台の交換と同時に、流し前のタイルをキッチンパネルに替えるので、既存のタイルもはがします。
一昔前まで主流だったタイルも、「手入れの大変さ」から、リフォームの際にキッチンパネルに変える事が多くなりました。
流し台の撤去が終われば、ガス、給水、給湯、配水管の移動です。
流し台の交換作業に、2日間という期間をいただくのは、流し台撤去後の修正作業をキッチリと行うためです。
給水給湯の配管や排水の位置は、流し台によって若干変わるので、その位置を新しい流し台に正確に合わせます。
無理やり流し台を取付ければ、配管等に負担がかかり、排水の流れが悪くなったり、水漏れを起こす事もあります。
そして、後から問題が発生したときは、より大掛かりな手直し作業が必要になり、多大なるご迷惑をお客様にかけることになってしまいます。
話は少し逸れますが、
今回のリフォームのお話があった数ヶ月前、I 様邸では、台所のレンジフードが壊れ、急遽その交換を某リフォーム会社に依頼したそうです。
そして、私が見積り前に建物内外の様子をグルッと見てまわったときに、まず気になったのが、その部分でした。
それは、外壁の点検中に、一目見て分かる状態でした。
台所の排気部分に外付けされた、不自然に大きなフード。
これは、たまに見る光景ではありますが、問題なのはその中身です。
上の写真は、外壁を解体したときの状態です。
これを見ると以前は、30㎝角の昔ながらの換気扇が付いていたと推測でき、そこに新しいレンジフードの排気管をただ出した状態です。
そして外壁の上から、この30㎝角の穴が隠れるように、大きなフードを付けていました。
さて、ここで問題なのは、大きなフードでしょうか?
いえ違います。
問題は、外壁の補修もせずに、大きなフードの中で、このジャバラ状の配管がむき出しになっていた事です。
台所からは、湿った暖かい空気(排気)が毎日のように出ます。
この湿った暖かい空気は、フードから外にも排気されますが、その大半が外壁の裏側にある通気層に流れ込み、一冬越せばあっという間に、その部分の外壁を凍害によりダメにしてしまいます。
レンジフードが壊れたから交換する。
レンジフード1つ交換するにも、「つながり」があり、直し方を間違えれば、新たな問題を引き起こします。
「直す」という事は、関連する最後の部分までキッチリと直さなければ意味がありません。
短期間で、とりあえず見える部分を新しくする工事は、リフォーム業者は得するかも知れませんが、お客様にとっては、何の得もありません。
「百害あって一利なし」です。
この部分も今回の工事で、しっかりと直します。
それともう1つ、
数年前 、I 様から「台所の排水が漏れているような音がする」と、ご相談がありました。
伺って話をお聞きすると、「水を流すと、数秒後に ポタッ・ポタッ と配水管付近から音がする」との事でした。
さらに詳しく状況を伺ってみると、お湯を流したときに発生する事が多いと分かり、実際に試してみると確かに「ポタッ・ポタッ(パチッ・パチッ)」と。
床下や流し台の中を点検しても、排水が漏れている様子は無く、音の質的には「パチッ・パチッ」でしたから、「配水管の収縮が原因では」推測しました。
床下から立ち上がる配水管が、床材やその下地材と接していると、お湯を流した際に膨らむ配水管と干渉して、水漏れに似た音がすることがあります。
そして今回、排水位置を移動する際、排水まわりには、しっかりとクリアー(スペース)をとりましたから、これで音の問題は解消するはずです。
<2日目>
流し台の取り付けです。
昨日の段階で、下準備は終わっているので、取り付け作業は半日程度で完了し、午後からは、ガス台・水栓金具の取り付け、排水・レンジの排気の接続をして、流し前のコーキングを残し完了です。
コーキングを残したのは、コーキングは乾くまでの間、ホコリ等が付着しやすいからで、今回の工事の最終日に行う事にしています。
浴室のコーキングと違い、流し前は、「すき間を見栄え良く隠す」のが一番の目的なので、コーキングをする前に流し台を使っても支障ありません。
通常、流し台の寸法(巾)は、規格で決まっているので、建物の寸法によっては、流し台の横に中途半端なすき間が出来てしまいます。
今回も、約3cmの余分なすき間があり、それをステンレスでカバーしていました。
新築時であれば、間仕切壁の位置を移動して調整する事も出来るのですが、リフォームで間仕切の移動をしようとすると、天井や床にも影響が出て、周辺のクロスの張替えなど、間仕切の移動1つで、余分な費用がかかってしまいます。
そこで今回は、TOTOのフィットサイズ対応の流し台で、この余分なすき間を解消します。
このフィットサイズ対応とは、1㎝単位で流し台の巾を調整できるので、今回は、全巾を3cm伸ばして、ピッタリと納めました。
水まわりのリフォームは、同時に複数の業種の作業が必要で、お客様には多大なるご負担をおかけする工事ですが、使い勝手の変化を直接体感できる工事でもあります。
工事期間の数日間は、ご不便をおかけしますが、その後、新たな気持ちでお使いいただくことが出来ます。
今回の流し台も、以前よりも格段に使いやすくなり、デザイン(色)にもこだわって、明るい雰囲気になり、まさに「一石二鳥」でした。
水まわりのリフォームは、その日を境に、使い勝手のビフォー・アフターを体感できる、楽しい工事でもあります。
しかし I 様邸は、これからも他の工事が続くので、なかなかその使い勝手をゆっくりと体感する事が出来ないと思います。
工事完了まで、あと10日。
落ち着かない日々が続きますが、住み慣れた家が、少し見慣れ過ぎた家が、このリフォームによって変わる様は、「日々、体感できる変化」で、新築では味わえない感覚でもあります。
これから工事は、仕上工程へと進み、日々、完成に近づく様を体感できるはずです。
今しばらくのご辛抱を、そして、この変化をお楽しみください。