来週からの外構工事に先立って、
今日は基礎の左官仕上げと、玄関ポーチの土間タイルの下地です。
HO様邸は、昨年末にお引渡しだったため、
左官仕上げと外構工事は、この時期になりました。
冬季間に左官工事や外構工事をやらない理由は、単純に「上手くいかないから」です。
左官は「凍害」を起こし、凍った地盤面にかけたアスファルトは、
春先の雪解けとともに下がってしまいます。
昨年夏の基礎工事の時に、一緒にやったアスファルト下地(砕石)も、
一冬越せば、ご覧の通り凸凹です。
昨年、無理やりアスファルト工事をしていたらと、考えるとゾッとします。
さて、今回の基礎の仕上げは、「はきつけ」と呼ばれる仕上げ方です。
「ドイツ壁」とも呼ばれるこの工法は、主に外壁で多く使われていましたが、
最近では、モルタルの外壁自体が少ないので、
あまり見なくなると同時に、できる職人さんも少なくなりました。
「はきつけ仕上げ」は、平らに塗ったモルタルが乾く前に、
水分を少な目にしたモルタルを「ササラ」と呼ばれる固めの箒のような道具で、
掃いて(飛ばして)付けて、凸凹を作ります。
見ているだけで、楽しくなります。
しかし、ただでさえ難しいこの作業、途中で休んだり、交代すれば、
仕上り(風合い)が変わるので、あくまでも、一人の職人さんが、
最初から最後まで一定のリズムで、休まず作業をするので大変です。
そう言えば数年前、大手ハウスメーカーさんの現場で、
久しぶりに「はきつけ仕上げの外壁」の作業を見ました。
珍しかったので、しばらく見ていると、
若い職人さんが、イヤホンを耳に付け、音楽を聴きながら、軽快に作業をしていました。
その軽快な作業を見て、「若いのに、大したものだ」と思うと同時に、
「音楽を聴きながら」というのには、すこし違和感を感じながらも、
「今風なのかな?」と思ったりもしました。
とりあえず「ケガをしないように!」と思いながら、その場を去りましたが、数日後、
また同じ現場の近くを通ると、今度は、いかにも親方らしい熟練した職人さんが、
この前、若い職人さんが作業していた同じ場所で 、黙々と同じ作業をしていました。
その時は、その意味が分かりませんでしたが、今回の作業を見ていて、ピンときました。
音楽を聴きながらの作業は、リズミカルな「はきつけ作業」には、
一見「ノリノリ」で良いようにも思いましたが、
音楽のリズムは、必ずしも一定ではなく、それに合わせて作業をするという事は、
仕上がりがバラバラになったのではと思いました。
それ以前に、音楽を聞きながらの作業は危険なので、
親方に叱られて転職してしまったのではと、心配にもなりました。
これからの時代、若い職人さんは、大切です。
親方に叱られながらも、一人でも多くの職人さんが、
「一人前」になってくれる事を、切に願います。