先々週にドカッと降った雪も解け、道路もずいぶん走りやすくなりましたが、これからが冬本番です。
これからの時期、そろそろ気を付けたいのが「スノーダクトの凍結」です。
スノーダクトとは、北海道の多くの住宅で採用されている無落雪屋根の一種で、
外から見ると平らで、その中央部に向けて下り勾配を付け、一番低い部分に設けたダクト(樋)で雨水や雪解け水を受け排水する仕組みの屋根です。
この屋根で注意しなければいけないのが、「ダクト(排水管)の詰まり」です。
排水管が詰まると、雨水や雪解け水が排水されず、屋根がプール状態になり「すが漏れ」の原因になります。
「詰まり」には、主に2つの原因があり、それはゴミによる詰まりと、凍結による詰まりです。
ゴミによる詰まりは、飛んできた落ち葉や、ビニール袋などが原因で、時にはカラスが、わざわざゴミを運んできていた例もありました。
近所に防風林や公園など、背の高い木がある時は特に注意が必要ですが、これは、定期的にダクトを点検し、清掃する事で防げます。
次に、凍結による詰まりです。
水道凍結は外気温が低い1月・2月が多いのですが、「雪解け水」が主な原因のこの詰まりは、雪が解け始める3月頃が一番危険で注意が必要です。
3月といえば、長い冬がそろそろ終わる頃で油断しがちですが、この季節は昼間暖かくても夜には氷点下になる日が多く、そんな時、ダクトが凍る条件がそろいます。
凍る条件のポイントは、屋根に雪があり、「寒」と「暖」が交互に続くことです。
ダクト凍結の多くは、一気に凍るのではなく、数日かけて徐々に凍るので、この条件が数日続く春先が要注意です。
また年によっては、1月・2月でもこんな日が続く事もあるので、春先と限定するのではなく、「凍る条件」を覚えておくと良いでしょう。
また、地域によっても「凍りやすさ」が違います。
この「地域によって」というのは、「下水処理方法の違い」です。
下水の処理方法は主に2種類、日常の生活から出る「雑排水」と「雨水」を一緒に流す「合流式」と、これらを分けて流す「分流式」があります。
そして、生活雑排水と雨水の排水温度を比較してみると、台所やお風呂の排水などを流す生活雑排水は排水温度が高く、雨水の温度は低めで、冬になれば「なおさら」です。
よって、この2つを一緒に流す合流式の地域のダクトの配管内は暖かく凍りづらく、分けて流す分流式のダクトの配管内は冷えて凍りやすいという事が言えます。
とは言っても、配管内の温度を上げるためのヒーター(ドレンパイプヒーター)もあり、分流式の地域はこのヒーターを付けておけば、スイッチを入れ忘れない限り、合流式と同じ効果が得られます。
さて、「スノーダクトの凍結にご注意を」ということで書いてきましたが、注意できる事と言えば定期的なダクトの清掃と、分流式の地域であれば、ドレンパイプヒーターのスイッチを入れる程度です。
極端な話、屋根に雪が無ければ、雪解け水も無いので、「凍る条件」が揃った時には、屋根の雪を全部下ろすのも1つの方法ですが大変です。
私が住む地域は分流式ですが、ドレンパイプヒーターのスイッチを入れ忘れて、ひと冬越した年がありましたが、特に問題はありませんでした。
先程書いた「凍る条件」も、それが全てではなく、さらに悪条件がいくつか重なって初めてダクトの凍結は起こります。
しかし、この悪条件には色々な組み合わせがあり、気象状況だけで判断できるものでもなく、正確な予測が出来ません。
ただし、この凍結が起こるのも「まれ」であるため、そんなに神経質になる事も無いのかも知れません。
日頃から、「起こりうる」と頭の隅において、ダクトの点検をしておくだけでも、かなり違うと思います。
P.S.
天井の断熱不良により、ダクトが凍結することがあります。
これは自然現象だけが原因ではないので、ダクトの凍結が頻繁に起こる場合は、一度建築屋さんに点検してもらう事をお勧めします。