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マスターから学んだこと

仕事をしていて、お客様から教わる事が多々あります。

 

先日、外構工事が完了した 、清田区の床屋さんのマスター (H様) からも、いろいろな事を学びました。

 

マスターとの出会いは2年前、我々が普段、仕事をお願いしている業者さんからの紹介でした。

「店舗併用住宅の店舗部分の改装」 ということで、初めてお店に伺っての第一印象は、「まだ新しい!」 でした。

実際に、お話を伺うと「自分のイメージと違うところを、直しをしたい」 ということでしたが、改めて辺りを見回しても、店内は明るくて、清潔感もあり、良い雰囲気なので、「どこをどのように直すのか」 がピンときませんでした。

それに、「商売」 として考えれば、せっかく作ったお店ですから、「これ以上、余分な経費はかけずに、多少の事は我慢して、あとは、一生懸命に稼ぐのみでは?」 とも思いました。

また、「常連さん」 も沢山いらっしゃる様子で、「集客に困って、お店の改装をして、心機一転!」 ということでも無さそうですし。

我々は、仕事をご依頼いただけるので、有難い話なのですが、その反面、「新しいのに、モッタイナイ」 と思う気持ちも、正直ありました。

 

しかし、打ち合わせを進めていくと、「なるほど」 と思うことが、いくつもあり、納得したと同時に、勉強にもなりました。

 マスターの「こだわり」 は、「お店をかっこよく見せる」 ということではなく、「自分が納得できる環境で、最高のサービスをお客様に提供する」 ということだと、私は知りました。

髪を切りに来るお客様にしてみれば、お店の細かいデザインが気に入って来るのではなく、マスターの技術と人柄にひかれて来ているのだと思いますが、「お店に対するマスターのこだわり も人柄」と考えれば納得できます。

そして、今回の工事は、2年前に我々が施工した花壇の化粧石を壊して、駐輪場にする工事で、気持ちとしては複雑なものが、ありました。

私も、「造る」 ことに関して、「こだわり」 を持っています。 

壊れることも、壊すことも無いように、一つ一つ丁寧に。

 しかし、マスターとお話をしているうちに、気づきました。

「せっかく造ったのに」 は、造った側の 「一方的な想い」 であることを。

造ることは、壊すこと。

壊すことは、造ること。

花壇を壊して、新たに駐輪場を造る。

そこには、マスターの仕事に対する 「こだわり」 と、お店とお客様に対する 「愛情」 がありました。

 

今までの H様 の工事を振り返ってみると、新たに加える物よりも、削り取ったり、作り変える作業の方が、多かったように思います。

しかし、それは髪を切りに来るお客様の 「居心地の良さ」 と、マスターの 「使いやすさ」 を追及するものでした。

そこに 「妥協」 という言葉はなく、「日々、進化するマスターのこだわり」 は、これからも続くのでしょう。

その、マスターのこだわりを一つでも多く、形に出来るように、我々も日々勉強をして、「妥協しない、こだわりの仕事をしなければ」 と、改めて思いました。

 

今回、マスターから学んだこと。

「こだわるのは、目先の形にではなく、その先にある目的のために、今をこだわる」 ということでした。

 

P.S.

今回の仕事をさせて頂いて、私が昔、通っていた床屋の 「ナリタ」 さんのことを思い出しました。

ナリタさんには、私が幼い頃から、就職で札幌に来るまでの間、20年近くお世話になりました。

商店街のお地蔵さんの横にある、ナリタさんは、入口を入ると、すぐ右側に薄暗い待合室があり、いつも同じマンガが山積みにされ、私も飽きずに同じマンガばかり読み、待っていました。

お店の中は、雑然としていて、窓際や空いているスペースに、観葉植物ともつかない、何とも言えない植物達が所狭しと置いてあり、吊るされた鳥カゴからは 「セキセイインコ」 の 「チュルチュル」 という鳴き声と、AMラジオからは、いつも演歌が流れていました。

髪を切り終えると必ず、「頭すっきりしたね!頭軽くなったでしょ!」 と言うナリタの 「おじさん」 と 「おばさん」 。

お店を出ると、商店街の人たちにも、「頭すっきりしたねぇ」 と言われ、それが、なんだか恥ずかしくて、走って家に帰ったことを思い出します。

私が札幌に来る直前にも、この 「ナリタさん」 で髪を切ってもらいました。

祖父も、父も、「ナリタさん」 で髪を切ってもらいました。

できれば、「私の息子2人も、連れて行ってやりたいなぁ」 と思う今日この頃です。

 


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