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東雁来モデルハウス 21

大工さんの外部作業が、ほぼ完了しました。

週前半は寒さが残り、中頃は暖かく、週末にかけて再び寒くなり、季節は春に1歩ずつ近づいてはいるものの、気温の変化が激しく、体調管理が難しい1週間でした。

先週は、本屋根下地まで作業が完了し、今週も引き続き外部の作業です。

 

【3月14日】
2階の外回りの間柱を立て、主要構造部に金物をセットします。


これらの金物は、1995年に発生した阪神・淡路大震災以降 強化された部分です。
直下型地震であったこの震災では、初期段階で起こった突き上げるような大きな縦揺れで、柱や梁が抜け落ち、建物が倒壊したケースが見られ、その結果を踏まえての対策です。
ただし、倒壊の原因全てがこれではなく、「地域柄」という事もあったようです。
その地域柄とは、建物の多くが瓦屋根であったこと。これは、建物の重心が上部にある事で、揺れが増幅します。これに対して、北海道の建物のほとんどは、軽量なトタン屋根であるため、「地震に有利」と考えられていますが、冬の積雪時には屋根上の荷重が増えるため、やはり対策は必要です。
他には、建物の老朽化や筋交が入っていない、あるいは入っていても強度不足など、さらに腐食や蟻(シロアリ)害などが確認されています。逆に、新しい建物や、古くても耐震補強がしっかりしていて、腐食など無い建物は被害が軽微であったようです

 

【3月15日】
今日の大工さんは、2階外回りの構造用合板を張っていきます。


昨日の話の続きになりますが、震度7の阪神・淡路大震災でも被害が軽微だった木造住宅を構造別にみると、伝統的な軸組構法よりも、ツーバイフォー構法などの枠組壁構法の方が圧倒的に有利でした。
これは軸組構法の柱、梁、筋交(斜材)など「線」で支えるのに対し、枠組壁構法は構造用合板を張る事で面で支えられ、揺れに強かったという結果です。
ただし軸組構法は、「伝統的」と言うだけあって、古い建物が多かったというのも加味する必要があります。また、上の写真を見ても分かるように、軸組構法も今は、構造用合板を張っているので、言わば「軸組壁構法」で強度もバッチリです。

そして今日は、屋根の板金も葺き終わり、明日ダクトの排水を接続すれば、雨の心配もありません。

東雁来モデル屋根板金1

 

【3月16日】
ようやく暖かくなりました。

東雁来モデルハウス

昨日、屋根板金葺きが終わり、

東雁来モデル板金

外部の構造用合板も張り終え、

東雁来モデル外部構造用合板

今日の大工さんの作業は、下屋下地を造り、外部の防水シート張りです。


防水シートは、一見すると「少し丈夫な紙」に見えますが、このシートは外からの水の浸入を防ぎ、内側からの湿気は外に逃がす、優れ物です。
そして、最近の高断熱・高気密の住宅は、高性能であるがゆえの悩みがいくつかあります。
その1つに「湿気」があり、これは、「結露」という形で現れ、建物に悪影響を及ぼす事が多々あります。目に見えるところでは、窓ガラスや浴室が一般的で、見えないところでは、「壁体内結露」があります。これは読んで字のごとく、壁内部で起こる結露のことで、目に見えない分 厄介です。
基本的に、気密が高ければ、壁内部に湿気が逃げる事は無いはずなのですが、何事も100%はありません。そこで、壁内部の湿気を外に逃がすのに活躍するのが、この防水シートです。単なる防水シートであれば、外からの水を通さない代わりに、中からの湿気も通さないのですが、この防水シート(タイベック)は、防水でありながら透湿性能もある良いとこ取りのシートです。
これはレインウエアに使われているゴアテックスと同じような効果があり、言ってみれば、建物全体に高性能なレインウエアを着せているようなものです。

そして、このシートから抜け出た湿気は、この後施工される通気層を通って外へと排出されます。

 

【3月17日】
昨日、大工さんが作った下屋の下地にも防水シート(アスファルトルーフィング)が敷かれ、防水もバッチリです。

東雁来モデル屋根ルーフィング

このシートは、外壁下地に張ったシートとは違い透湿性能の無い、防水性能のみのシートです。
「適材適所」。人でも物でも、どんな事にも言えることですが、使う場所を間違えば、逆効果です。

さて、大工さんの今日の作業は、サッシの取り付けです。


サッシが付くと、少し家らしくなってきました。

 

【3月18日】
今日は、朝一番でJIOの躯体検査です。

東雁来モデル躯体検査

この検査は、「設計図面通りに施工されているか」の検査です。
検査項目は主に、構造に関する部分で金物や防水などで、問題なく合格です。
自社で設計・施工し、アフターも全て自社ですから、第三者の方に見ていただかなくても、「安心してください!ちゃんと造ってますよ!」と言いたいのですが・・・。
約10年前の「耐震偽装問題」がきっかけで、建築業界全体の信用が無くなったのですが、その前からも、不動産・建築業界はなんだか、怪しい感じで信用されないのは、悲しい事です 。

さて、大工さんの今日の作業は、外壁の通気下地です。


この通気下地、単なる下地ではないのがミソで、通気するんです。
3月16日に書いた、タイベックから抜け出た湿気は、この通気層を通って効率よく小屋裏まで運ばれ、そこから屋外へ排出されます。これは、暖かい空気が上昇するのを利用した縦方向の流れで、この通気がしっかりとされないと、外壁を凍害などで傷める結果にもなります。
外壁には、縦張りと横張りがあり、その下地は外壁と直交するように取り付けます。
今回の外壁は「縦張り」ですから、下地は横方向です。そして横下地は縦方向の空気の流れを止めてしまうので、下地に溝を付ける「ひと手間」が必要です。

前回、「適材適所」という話をしましたが、選ぶ外壁材によって下地が変わり、その下地によってもコストが変わります。
多くの部品の組合せの住宅は、選ぶ材料によってもコストが大きく変わってきます。ですから、住宅を設計する際には、そのような事も加味して考えれると、より理想に近い建物になると思います。

 

 

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